官公庁ホームページのアクセシビリティ品質は8割がスタート地点手前
- アライド・ブレインズ、中央省庁・独立行政法人・特別民間法人ウェブサイトのアクセシビリティ・ユーザビリティ調査結果を発表 -

【プレスリリース】 報道関係者各位

2011年8月10日
アライド・ブレインズ株式会社

アライド・ブレインズ株式会社(東京都千代田区、代表取締役:大野勝利、以下、アライド・ブレインズ)は、この度官公庁ウェブサイトのアクセシビリティ・ユーザビリティ品質を調査する「A.A.O.ウェブサイトクオリティ実態調査 官公庁編第5回(以下、本調査)」を実施し、調査結果を発表いたします。本調査では、対象とした202の官公庁公式ウェブサイトのうち、約8割にあたるサイトで最も基本的なアクセシビリティ上の対応に問題があり、公共サイトとして求められる要件を満たしていない状況が明らかになりました。

本調査におけるサイト品質の考えかた

アライド・ブレインズはより多くの利用者が等しく快適に情報を入手できるインターネット社会を目指し、公共サイト改善の共通指標を提供する目的で、2006年より「A.A.O.ウェブサイトクオリティ実態調査」を実施してきました。
本調査では公共サイトの品質に関して、2つの観点で評価を行っています。

  1. 高齢者や障害者を含む誰もが等しく適切に情報を得られること
    =アクセシビリティ(基本レベル)
  2. サイト規模にかかわらず、すべてのページが均質な使いやすさを担保していること
    =ユーザビリティ(配慮レベル)

1.のアクセシビリティ品質が担保されない限り、適切に情報を得られない利用者の存在が残り続けるため、公共サイトにおいてこれらの対応は不可欠です。我が国ではそうした公共機関のアクセシビリティ対応を推進するため、ホームページのJIS規格である「JIS X 8341-3:2010」(2010年8月改正公示)、総務省「みんなの公共サイト運用モデル」(2011年4月公表)といった規格や指針が定められています。

本調査においては、サイトを運営する公共機関が、まずホームページ全体の現状を正しく把握し、改善へ向け何から着手すべきかご理解いただくために、1.アクセシビリティ品質、2.ユーザビリティ品質それぞれについて、サイト全体を通じて問題の有無を把握する必要がある指標を設け、調査結果を分析・集計しています。

A-aからEまで9段階の到達レベルのイメージ図。Aレベルはアクセシビリティ対応のスタート地点。A-aを満たして初めて独自の創意工夫が活きる。

官公庁編第5回総評

本調査で対象202サイトの品質を評価したところ、弊社がアクセシビリティ対応のスタートラインと位置づけている「Aレベル」は45サイト(22.3%)に過ぎず、依然約8割の官公庁サイトは最低限のアクセシビリティ品質を満たしていないことが明らかになりました。対応途上と考えられる「Bレベル」が20(9.9%)、対応に着手した段階と考えられる「Cレベル」が42サイト(20.8%)、対応不十分と考えられる「Dレベル」が55サイト(27.2%)、対応未着手と考えられる「Eレベル」は40サイト(19.8%)でした。

具体的な問題点としては、ナビゲーションのメニュー画像に代替テキストが付与されていない例、ほとんどのページが適切に構造化されていない例などを確認しており、利用者によって情報収集の妨げになると考えられます。

集計結果一覧
到達レベル 中央省庁 独立行政法人 特別民間法人 全体
件数 比率 件数 比率 件数 比率 件数 比率
A-a 0 0.0% 0 0.0% 0 0.0% 0 0.0%
A-b 0 0.0% 0 0.0% 0 0.0% 0 0.0%
A-c 0 0.0% 0 0.0% 1 0.5% 1 0.5%
A-d 0 0.0% 1 0.5% 0 0.0% 1 0.5%
A-e 17 8.4% 18 8.9% 8 4.0% 43 21.3%
B 9 4.5% 9 4.5% 2 1.0% 20 9.9%
C 16 7.9% 20 9.9% 6 3.0% 42 20.8%
D 14 6.9% 34 16.8% 7 3.5% 55 27.2%
E 5 2.5% 21 10.4% 14 6.9% 40 19.8%
総計 61 30.2% 103 51.0% 38 18.8% 202 100.0%

評価方法および個別の調査結果は、ウェブアクセシビリティ総合サイトA.A.O.をご参照ください。
http://www.aao.ne.jp/research/cronos2/2011_gov5/specs.html

なお、第4回調査から対象としていた178サイトのうち、33サイトは前回評価よりも改善していますが、評価の下がったサイトが13例見つかっております。この結果からも明らかなように、「情報量の多さ」「更新頻度の高さ」「複数部署での運営管理」といった特徴を持つ公共サイトが一定以上の品質レベルを維持することは容易ではありません。サイト全体の現状を隈なく定期的に診断したうえ、改善の取り組みを日々継続していく必要があると考えられます。

先の東日本大震災においてはインターネットを活用したコミュニケーションの有効性が再認識されると同時に、未だ高齢者や障害者への配慮に欠ける情報提供のあり方が問題になりました。多くの官公庁が「東日本大震災関連情報」などの緊急特設コーナーを設けて情報発信に努めてはいるものの、重要な情報を遍く国民へ届けるという本来の役割が十分に発揮できていない状況であり、改善へ向けた一層の努力が望まれます。

アライド・ブレインズは今後も、客観的な指標で公共機関ウェブサイトのウェブクオリティ評価をお伝えし、公共サイトの品質改善を通じて「すべてのサイト利用者」の利便性向上に貢献してまいります。

アライド・ブレインズ株式会社について
調査・コンサルティングファーム。アクセシビリティを中心としたウェブサイトの品質確保・向上に関し、総務省推進プロジェクト支援、官公庁・自治体・企業のコンサルティングなど多数の実績がある。
2004年7月「WebアクセシビリティJIS規格完全ガイド」、2010年11月「Webアクセシビリティ完全ガイド」を日経BP社より刊行。ウェブアクセシビリティのJIS規格(JIS X 8341-3)検討委員、総務省「公共分野におけるアクセシビリティの確保に関する研究会」運営支援。「みんなの公共サイト運用モデル」に関しては、総務省より委託を受け検討支援を担当。

A.A.O.について
Allied-Brains Accessibility Online。自社運営のウェブサイトを核にした、提供者と利用者のための公共機関ウェブサイト品質向上支援プロジェクト。サイト及びメールマガジン、セミナーを通じ、関連情報や支援ツール、また制作者・提供者と利用者の連携支援サービスなどを提供している。

【A.A.O.ウェブサイトクオリティ実態調査について】
独自開発したウェブサイトの品質解析プログラム「CRONOS2(クロノス2)」を用いて、対象ウェブサイトの全ファイルを解析し、アクセシビリティの観点からウェブサイトの品質を評価する。より多くの公共機関ウェブサイトが「誰にとっても使いやすい」ものとなるよう、自団体ウェブサイトの現状を認識し、改善の取り組みの指針としていただくことを目的に、2006年より毎年自主的に本調査を実施・発表してきた。2011年は中央省庁、独立行政法人、特別民間法人、政党を含む822団体の公式ホームページ調査結果を発表予定。

過去の「A.A.O.ウェブサイトクオリティ実態調査」調査結果

CRONOS2について
ホームページごとに同一ドメイン内の全ファイルを解析し、ウェブアクセシビリティをはじめとするサイト全体の問題点をレポートする、アライド・ブレインズの独自開発プログラム。自治体、政党、官公庁、独立行政法人等を対象とした自主調査、また個別クライアントからの受託を通じ、2011年8月現在約3300サイト(未発表分を含む)の解析実績がある。

本プレスリリースに関するお問い合わせ

アライド・ブレインズ株式会社 担当:目次(めつぎ)・大久保・清水
Tel:03-3261-7431  Fax:03-3261-7432 e-mail:office@aao.ne.jp
〒101-0003 東京都千代田区一ツ橋2-6-8 トミービル3 2階

アライド・ブレインズ「A.A.O.ウェブサイトクオリティ実態調査 官公庁編第5回」の概要