自治体ウェブサイトの改正JIS規格対応、多くの団体で問題あり
- アライド・ブレインズ、516自治体サイトのアクセシビリティ対応状況を調査 -

【プレスリリース】 報道関係者各位

2010年9月30日
アライド・ブレインズ株式会社

アライド・ブレインズ株式会社(東京都千代田区、代表取締役社長:内田 斉、以下アライド・ブレインズ)は、「A.A.O.ウェブサイトクオリティ実態調査 自治体編第5回」を実施し、この度調査結果を発表いたします。

本年8月20日にウェブアクセシビリティ(高齢者や障害者を含めた誰もがウェブを利用できること)に関するJIS規格(JIS X 8341-3:2010、以下改正JIS)が改正公示され、ウェブアクセシビリティに関して目標の設定と公表が求められるなど、特に自治体や官公庁等の公共機関ウェブサイトにおいて、アクセシビリティの確保が急務となっています。

当社がアクセシビリティ対応のスタートラインと位置づける「A」レベルに該当する自治体の割合は年々増加していますが、今回調査において依然として全体の16.1%に留まることが明らかになりました。本調査の基本レベル評価の解析項目である「画像代替」と「構造化」は、改正JISの達成等級A(最低限のレベル:計25の達成基準により構成される)に該当する内容です。改正JISへの対応という意味でも、多数の自治体ウェブサイトが問題を有していると言えます。

本調査は、当社が独自に開発したウェブサイトの品質解析プログラム「CRONOS2(クロノス2)」の一部の解析項目を用いて対象サイトの“公開されている全ページ”を解析し、アクセシビリティ対応状況をA、B、C、D、Eの5段階で評価しています(基本レベル評価)。また、「A」レベルに到達した団体に対しては、更なる品質向上を目指していただくことを目的に、昨年度よりA-aからA-eの5段階の評価(配慮レベル評価)を実施しています。ウェブサイトの一部のみを調査するのではなく、全ページを一定の基準で評価するため、下層ページを含めたウェブサイト全体について、客観的な指標で現時点のクオリティを把握するとともに、経年変化を診ることが可能です。

516自治体について、各団体の調査結果をウェブアクセシビリティ総合サイトA.A.O.にて公表しております。
http://www.aao.ne.jp/research/cronos2/2010/arearesult.html

到達レベル毎の自治体数(基本レベル評価)
到達レベル 自治体数 評価
A 83 サイト全体で画像代替・構造化ともに十分対応している
B 104 サイト全体で画像代替・構造化ともに対応している
C 135 画像代替・構造化ともに対応に着手している
D 149 画像代替が不十分である/構造化の着手が遅れている
E 45 画像代替が不十分なページが極めて多い

第1回調査からの到達レベルの推移
第1回調査からの到達レベルの推移を表した図

  第5回 第4回 第3回 第2回 第1回
Aレベル 16.1% 11.5% 6.7% 5.7% 2.2%
Bレベル 20.2% 16.9% 13.8% 8.3% 3.9%
Cレベル 26.2% 25.6% 26.6% 25.4% 20.6%
Dレベル 28.9% 33.7% 40.8% 50.0% 56.7%
Eレベル 8.7% 12.4% 12.1% 10.5% 16.7%

本調査は2006年より毎年実施しており、今年で5回目を迎えます。より多くの公共機関ウェブサイトが「誰にとっても使いやすい」ものとなるよう、自団体ウェブサイトの現状を認識し、改善の取り組みの指針としていただくことを目的とした調査であり、調査結果を基にした順位付けは行いません。アライド・ブレインズは今後も「A.A.O.ウェブサイトクオリティ実態調査」を通じ、公共機関ウェブサイトの一層の品質改善と「すべてのサイト利用者」の利便性向上に貢献してまいります。

アライド・ブレインズ株式会社
調査・コンサルティングファーム。アクセシビリティを中心としたウェブサイトの品質確保・向上に関し、総務省推進プロジェクト支援、官公庁・自治体・企業のコンサルティングなど多数の実績がある。2004年7月に「WebアクセシビリティJIS規格完全ガイド」を日経BP社より刊行(2010年10月改訂予定)。ウェブアクセシビリティのJIS規格(JIS X 8341-3)検討委員、総務省「みんなの公共サイト運用モデル」検討支援を担当。

A.A.O.ウェブサイトクオリティ実態調査について
アライド・ブレインズが独自に開発したウェブサイトの品質解析プログラム「CRONOS2(クロノス2)」を用いて公共機関ウェブサイトの全ページファイル解析を行い、アクセシビリティの観点からウェブサイトの品質を評価する調査。評価した公共機関ウェブサイトの更なる品質向上のための指標として役立てていただく目的で、2006年より継続して実施中。ウェブサイトの一部のみを抜き出してチェックする調査とは異なり、公開されている全ページを解析し、下層ページを含めたウェブサイト全体の品質を明らかにする。

A.A.O.について
自社運営のウェブアクセシビリティ総合サイトを核にした、提供者と利用者のためのアクセシビリティ向上支援プロジェクト。ウェブサイト及びメールマガジン、セミナーを通じ、関連情報や支援ツール、また制作者・提供者と利用者の連携支援サービスなどを提供している。

CRONOS2について
ウェブサイトの全ファイル(同一ドメイン内)を解析し、ウェブアクセシビリティをはじめとするサイト全体の問題点をレポートする、アライド・ブレインズの独自開発プログラム。本調査の他、個別クライアントからの受託を通じ、約2300サイトの解析実績がある。「A.A.O.ウェブサイトクオリティ実態調査」において評価項目としている「画像に対する代替テキスト付与状況」「HTML記述の文書構造化状況」「サイト全体に共通するナビゲーションの付与状況」等のほか、HTML以外の全ファイルを対象にしたファイル構成や更新状況などの項目による解析が可能。

本プレスリリースに関するお問い合わせ

アライド・ブレインズ株式会社 担当:目次(めつぎ)・大久保・田崎
Tel:03-3261-7431  Fax:03-3261-7432 e-mail:office@aao.ne.jp
〒102-0073 東京都千代田区九段北1-10-9 九段VIGASビル 2階

→「A.A.O.ウェブサイトクオリティ実態調査 自治体編第5回」の概要