政党ホームページのアクセシビリティ品質、公共サイト水準に及ばず
- アライド・ブレインズ、政党ウェブサイトのアクセシビリティ対応状況調査結果を発表 -
【プレスリリース】 報道関係者各位
2011年7月20日
アライド・ブレインズ株式会社
アライド・ブレインズ株式会社(東京都千代田区、代表取締役社長:内田 斉、以下、アライド・ブレインズ)は、この度政党ウェブサイトのアクセシビリティ品質を調査する「A.A.O.ウェブサイトクオリティ実態調査 政党編第4回(以下、本調査)」を実施し、調査結果を発表いたします。本調査では、対象とした10政党の公式ウェブサイトのうち4サイトが「アクセシビリティ対応不十分」の評価となり、官公庁や自治体と比べて取り組みの遅れが目立つ状況が明らかになりました。
公共性の高いウェブサイトには特に、「高齢者や障害者など心身の機能に制約のある人でも、ウェブで提供されている情報にアクセスし利用できる」こと、すなわちウェブアクセシビリティの確保が求められます。我が国においては昨年8月にホームページのJIS規格である「JIS X 8341-3:2010」が改正公示され、今春は改正JISをふまえて総務省「みんなの公共サイト運用モデル」が全面改定されるなど、公共サイトに求められるアクセシビリティの基準が厳格化し、官公庁・自治体を中心に、一部民間企業でも対応へ向けた取組みが進んでいます。
アライド・ブレインズは公共サイトのアクセシビリティ品質向上、ひいてはより多くの利用者が等しく情報を入手できるインターネット社会を目指し、改善の共通指標を提供する目的で2006年より「A.A.O.ウェブサイトクオリティ実態調査」を実施してきました。本調査は同実態調査のうち政党ホームページを対象にしたもので、今年第4回目を迎えます。
政党や政治家が直接国民等の利用者とコミュニケーションを行うツールとして、政党ウェブサイトの存在は重要性を増しています。しかしながら、本調査で対象10サイトのアクセシビリティ対応状況を5段階で評価したところ、公共サイトが最低限到達すべき水準である「Aレベル」は該当なし、対応途上と考えられる「Bレベル」及び対応に着手した段階と考えられる「Cレベル」がそれぞれ3サイト、対応不十分と考えられる「Eレベル」が4サイトと、いずれの政党サイトも品質に問題を抱える結果となりました。
団体名 | 第1回 (2008年) |
第2回 (2009年) |
第3回 (2010年) |
第4回 (2011年) |
前回比(第3回と第4回の推移) |
---|---|---|---|---|---|
民主党 | E | E | E | E | |
自由民主党 | E | E | E | C | |
公明党 | C | C | D | C | |
日本共産党 | D | E | E | E | |
社会民主党 | B | C | C | C | |
みんなの党 | - | - | B | B | |
国民新党 | C | E | B | B | |
たちあがれ日本 | - | - | C | B | |
新党日本 | E | E | E | E | |
新党改革 | - | - | E | E |
※2011年7月現在の衆議院における議席数順に掲載
※「−」は調査対象外
評価方法および調査結果の詳細は、別紙およびウェブアクセシビリティ総合サイトA.A.O.をご参照ください。
http://www.aao.ne.jp/research/cronos2/party4/index.html
昨年実施した第3回調査結果で「Eレベル」だった5サイトのうち、1サイトは2段階高い「Cレベル」への改善が見られたものの、4サイトは依然「Eレベル」にとどまっています。対象10サイト全体では、前回調査より1段階でも改善したサイトは3サイトのみで、7割は改善のあとが見られませんでした。
具体的な問題点としては、ウェブサイトのほぼ全ページに表示されるナビゲーションのメニュー画像に代替テキストが付与されていない例、トップページに表示される「マニフェスト」へのリンク画像に代替テキストがない例、ほとんどのページが適切に構造化されていない例などを確認しており、利用者によって情報収集の妨げになると考えられます。
アライド・ブレインズのA.A.O.ウェブサイトクオリティ実態調査は、「Aレベル=公共サイトが最低限到達すべき、アクセシビリティ対応のスタート地点」と位置づけています。本調査は、有権者を代表し国を統べる政党の責任として、アクセシビリティ向上に関する一層の努力が望まれる結果といえます。
アライド・ブレインズは今後も、客観的な指標で公共機関ウェブサイトのウェブクオリティ評価をお伝えし、公共サイトの一層の品質改善と「すべてのサイト利用者」の利便性向上に貢献してまいります。
【アライド・ブレインズ株式会社について】
調査・コンサルティングファーム。アクセシビリティを中心としたウェブサイトの品質確保・向上に関し、総務省推進プロジェクト支援、官公庁・自治体・企業のコンサルティングなど多数の実績がある。
2004年7月「WebアクセシビリティJIS規格完全ガイド」、2010年11月「Webアクセシビリティ完全ガイド」を日経BP社より刊行。ウェブアクセシビリティのJIS規格(JIS X 8341-3)検討委員、総務省「公共分野におけるアクセシビリティの確保に関する研究会」運営支援。「みんなの公共サイト運用モデル」に関しては、総務省より委託を受け検討支援を担当。
【A.A.O.について】
Allied-Brains Accessibility Online。自社運営のウェブサイトを核にした、提供者と利用者のための公共機関ウェブサイト品質向上支援プロジェクト。サイト及びメールマガジン、セミナーを通じ、関連情報や支援ツール、また制作者・提供者と利用者の連携支援サービスなどを提供している。
【A.A.O.ウェブサイトクオリティ実態調査について】
独自開発したウェブサイトの品質解析プログラム「CRONOS2(クロノス2)」を用いて、対象ウェブサイトの全ファイルを解析し、アクセシビリティの観点からウェブサイトの品質を評価する。より多くの公共機関ウェブサイトが「誰にとっても使いやすい」ものとなるよう、自団体ウェブサイトの現状を認識し、改善の取り組みの指針としていただくことを目的に、2006年より毎年自主的に本調査を実施・発表してきた。2011年は中央省庁、独立行政法人、特別民間法人、政党を含む822団体の公式ホームページ調査結果を発表予定。
- A.A.O.ウェブサイトクオリティ実態調査の特徴
- 全ページを対象にした評価:特定ページを人為的に抽出する手法ではなく、対象全サイトの最下層ページを含む全ページを漏れなく調査
- 解析システムによる客観的な評価:独自開発の解析システムにより、数値で客観的・統計的に到達レベルを判定
- 5年間約2700の実績:公共機関全体あるいは団体ごと、種別ごとに、経年変化を蓄積
→過去の「A.A.O.ウェブサイトクオリティ実態調査」調査結果
【CRONOS2について】
ホームページごとに同一ドメイン内の全ファイルを解析し、ウェブアクセシビリティをはじめとするサイト全体の問題点をレポートする、アライド・ブレインズの独自開発プログラム。自治体、政党、官公庁、独立行政法人等を対象とした自主調査、また個別クライアントからの受託を通じ、2011年7月現在約2700サイト(未発表分を除く)の解析実績がある。
本プレスリリースに関するお問い合わせ
アライド・ブレインズ株式会社 担当:目次(めつぎ)・大久保・清水
Tel:03-3261-7431 Fax:03-3261-7432 e-mail:office@aao.ne.jp
〒102-0073 東京都千代田区九段北1-10-9 九段VIGASビル 2階
→「A.A.O.ウェブサイトクオリティ実態調査 政党編第4回」の概要