国のホームページ54団体中53団体が、障害者配慮のJIS規格基準に問題
- 総務省による2017年度調査と同一システムで調査 -
【プレスリリース】 報道関係者各位
2018年11月15日
アライド・ブレインズ株式会社
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アライド・ブレインズ株式会社(東京都千代田区、代表取締役:大野勝利、以下、アライド・ブレインズ)は、2018年8月から10月にかけて、国(府省庁、国会、裁判所等の54団体)の公式ホームページ全ページを対象に、高齢者・障害者のホームページ利用への配慮(ウェブアクセシビリティ)に関するJIS規格(JIS X 8341-3:2016)への対応状況について調査しました。
総務省が2017年度に実施した「国及び地方公共団体公式ホームページのJIS規格対応状況調査」と同一のシステムを用いて調査したところ、54団体のうち53団体の公式ホームページに、JIS規格の適合レベルA又はAAの問題があることが確認されました。
本調査は、国のほか、地方公共団体のホームページを対象に実施しており、今後結果を発表いたします。
背景
ウェブアクセシビリティとは「高齢者や障害者を含めて、誰もがホームページ等で提供される情報や機能を支障なく利用できること」を意味します。
障害者差別解消法(2016年4月施行)を踏まえ、公共機関のウェブサイトはJIS規格の基準を満たすことが求められています。また、東京オリンピック・パラリンピックの開催が間近に控える中、障害者を含めた誰もが利用可能とするための情報環境の整備は喫緊の課題です。
調査結果
本調査は、国の公式ホームページを対象にJIS規格の適合レベルA及びAAに問題があるページ数、箇所数を機械的に検証可能な範囲で調査したものです。
個々の団体のホームページの調査結果を見ると、総ページ数に対する問題のあるページの割合は、最も少なかったホームページで0.00%、最も多かったホームページで99.98%でした。問題の箇所数は、最も少なかったホームページで0件、最も多かったホームページで1,267,092件でした。
No. | 団体名 | 公開されている全ページのうち、レベルA又はAAに問題のあるページの割合 | レベルA又はAAの問題の箇所数 |
---|---|---|---|
1 | 原子力規制委員会 | 0.00% | 0 |
2 | 参議院 | 0.97% | 1,258 |
3 | 日本銀行 | 1.44% | 278 |
4 | 内閣府 | 2.70% | 1,938 |
5 | 衆議院 | 3.01% | 85,747 |
6 | 公害等調整委員会 | 3.33% | 140 |
7 | 公安調査庁 | 5.22% | 115 |
8 | 裁判官訴追委員会 | 5.26% | 3 |
9 | スポーツ庁 | 5.38% | 324 |
10 | 公安審査委員会 | 7.69% | 3 |
11 | 裁判官弾劾裁判所 | 12.28% | 95 |
12 | 防衛装備庁 | 13.64% | 281 |
13 | 公正取引委員会 | 14.20% | 9,610 |
14 | 個人情報保護委員会 | 14.21% | 115 |
15 | 内閣法制局 | 14.88% | 329 |
16 | 特許庁 | 18.02% | 6,618 |
17 | 消費者庁 | 18.50% | 4,425 |
18 | 文部科学省 | 24.48% | 101,072 |
19 | 経済産業省 | 25.85% | 84,806 |
20 | 金融庁 | 26.35% | 20,752 |
21 | 総務省 | 27.15% | 199,059 |
22 | 検察庁 | 27.66% | 1,336 |
23 | 宮内庁 | 28.91% | 6,889 |
24 | 外務省 | 32.68% | 177,642 |
25 | 人事院 | 32.79% | 28,968 |
26 | 法務省 | 33.90% | 55,143 |
27 | 国立国会図書館 | 36.28% | 234,358 |
28 | 資源エネルギー庁 | 38.48% | 9,425 |
29 | 環境省 | 39.62% | 228,787 |
30 | 財務省 | 46.20% | 59,745 |
31 | 国土交通省 | 53.97% | 492,632 |
32 | 地方公共団体情報システム機構 | 58.88% | 5,542 |
33 | 会計検査院 | 61.80% | 2,693 |
34 | 気象庁 | 62.86% | 56,010 |
35 | 防衛省 | 64.94% | 437,116 |
36 | 警察庁 | 65.54% | 42,148 |
37 | 知的財産高等裁判所 | 68.93% | 880 |
38 | 内閣官房 | 70.65% | 11,350 |
39 | 中小企業庁 | 73.49% | 82,025 |
40 | 文化庁 | 76.28% | 19,160 |
41 | 海上保安庁 | 77.49% | 130,756 |
42 | 農林水産省 | 77.84% | 255,595 |
43 | 首相官邸 | 82.39% | 346,070 |
44 | 消防庁 | 83.25% | 35,784 |
45 | 厚生労働省 | 84.08% | 1,267,092 |
46 | 国税庁 | 87.61% | 308,332 |
47 | 国家公安委員会 | 93.05% | 14,121 |
48 | 中央労働委員会 | 95.51% | 8,499 |
49 | 観光庁 | 96.16% | 41,332 |
50 | 林野庁 | 98.60% | 150,490 |
51 | 裁判所 | 99.14% | 11,548 |
52 | 復興庁 | 99.72% | 55,172 |
53 | 運輸安全委員会 | 99.89% | 6,879 |
54 | 水産庁 | 99.98% | 25,575 |
まとめ
総務省「みんなの公共サイト運用ガイドライン(2016年版)」では、各公共機関が自団体ホームページの現状や運用の事情を踏まえ改善計画を立案し実行することを求めています。
アライド・ブレインズでは、本調査により各公共機関公式ホームページで公開されている全ページのJIS対応状況を明らかにし、結果の公表、解説セミナーの実施等を通じて、公共機関ホームページのウェブアクセシビリティ向上に貢献してまいります。
調査概要
1.調査対象
国(府省庁、国会、裁判所等) 54団体の公式ホームページ
e-Gov(イーガブ)「各府省・独立行政法人等のWebサイト」「国会・裁判所等」のページに掲載の団体、2017年総務省「国及び地方公共団体公式ホームページのJIS規格対応状況調査」の対象団体より選定。
2.調査期間
2018年8月〜10月
3.調査方法
アライド・ブレインズが開発した「全ページJIS検証プログラムAion(アイオン)」を用い、調査対象ホームページの公開されている全ページを対象に、JIS規格対応を調査した。
Aionは、総務省が開発し広く一般に無償提供しているJIS規格対応検証ツールmiChecker(エムアイチェッカー)2.0のチェック項目と基準に準じて、公開されている全ページを一括で検証するもの。総務省が2017年度に実施した「国及び地方公共団体公式ホームページのJIS規格対応状況調査」に用いられたシステムである。
本調査はmiChecker2.0の基準により機械的な検証を実施し「問題あり」と判定された箇所について集計を行った。JIS規格に基づき人の判断を含めた確認を行った場合、本調査の結果以上に問題が確認される可能性が高い。また、問題と判定された箇所には、ページの内容等を含めて人による確認を行った場合、問題がないとの判断に至るものが含まれている可能性がある。
【ウェブアクセシビリティとは】
高齢者や障害者を含めて、誰もがホームページ等で提供される情報や機能を支障なく利用できること。ウェブアクセシビリティ配慮の基準であるJIS X 8341-3:2016が2016年3月に改正公示された。特に、官公庁や自治体をはじめとする公的機関のホームページは、総務省が2016年4月に発表した「みんなの公共サイト運用ガイドライン(2016年版)」に基づき、JIS X 8341-3:2016に対応することが求められている。
【JISの適合レベル・達成基準について】
- 適合レベル:JIS X 8341-3:2016に設けられた、ウェブアクセシビリティ対応の程度を示したもの。最低限の要求事項であるレベルA、その上位のレベルAA、レベルAAAの三段階が用意されている。
- 達成基準:ページの作成において対応すべき個別的な要件を規定したもの。61項目あり、各項目はレベルA、レベルAA、レベルAAAのいずれかに対応している。
【総務省「国及び地方公共団体公式ホームページのJIS規格対応状況調査」について】
総務省が国及び地方公共団体公式ホームページを対象に、2017年度に実施したJIS X 8341-3:2016対応状況調査。本調査は、この総務省による調査と同一のシステムを用いて実施した。
総務省による調査結果の概要は総務省ホームページで公表されている。また、2018年12月から2019年1月に調査結果を踏まえた公的機関向けの講習会の開催が予定されている。
【総務省「miChecker」について】
総務省が開発し広く一般に無償提供しているアクセシビリティチェックツール。1ページずつ検証を行う。
【Aionについて】
公共機関のウェブアクセシビリティ検証のために総務省が開発し提供しているアクセシビリティチェックツール「miChecker(エムアイチェッカー)」のチェック項目と基準に準じて、ホームページの全ページを一括して検証するプログラム。総務省の公開するmiCheckerのソースコードを活用しアライド・ブレインズが開発。
【アライド・ブレインズ株式会社について】
調査・コンサルティングファーム。ウェブサイトの品質確保・向上に関し、総務省推進プロジェクト支援、官公庁・自治体・企業のコンサルティングなど多数の実績がある。ウェブアクセシビリティのJIS規格(JIS X 8341-3:2016)改正原案検討委員。「みんなの公共サイト運用ガイドライン」は、総務省からの請負により作成を担当。
【A.A.O.について】
自社運営のウェブサイトを核にした、提供者と利用者のための公共機関ウェブサイト品質向上支援プロジェクト。サイト及びメールマガジン、セミナーを通じ、関連情報や支援ツール、改善支援サービスなどを提供している。
本プレスリリースに関するお問い合わせ
アライド・ブレインズ株式会社 担当:米田、杉木
Tel:03-3261-7431 Fax:03-3261-7432 e-mail:office@aao.ne.jp
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