自治体公式スマートフォンサイト49.98%のページに障害者配慮のJIS規格基準に関する問題あり
- 総務省2023年度調査と同一システムによる調査 -
【プレスリリース】 報道関係者各位
2024年6月7日
アライド・ブレインズ株式会社
印刷用リリース(PDF形式、405KB)
国や自治体のホームページの使いやすさに関して20年以上に渡りコンサルティング実績を有しているアライド・ブレインズ株式会社(東京都千代田区、以下、アライド・ブレインズ)は、自治体の公式ホームページを対象に、高齢者・障害者のホームページ利用への配慮(ウェブアクセシビリティ)に関するJIS規格(JIS X 8341-3:2016)への対応状況を調査し、結果を公表しました。
本調査はスマートフォンで表示された公式ホームページを対象に調査を実施しました。その結果、調査対象となった839自治体全ての公式ホームページ(スマートフォン表示)に、JIS規格の適合レベルA又はAAの問題があり、ほぼ2ページに1ページ(49.98%)に問題があることが確認されました。
対象団体別調査結果を、情報提供サイト「A.A.O.」に公表しております。
背景
ウェブアクセシビリティとは「高齢者や障害者を含めて、誰もがホームページ等で提供される情報や機能を支障なく利用できること」を意味します。公共機関のホームページは、障害者差別解消法(改正法令和6年4月施行)を踏まえ、ウェブアクセシビリティのJIS規格の基準を満たすことが求められています。
総務省「令和4年通信利用動向調査」結果において、インターネット利用の71.2%がスマートフォン端末であることが明らかになっており、スマートフォン表示でのウェブアクセシビリティ配慮が求められています。
調査内容
- 対象団体:自治体(都道府県、全市、特別区)計 862 団体 ※うち 23 団体解析不能
- 調査対象:公式ホームページの全ページ
- 調査期間:2023年5月から2024年2月
- 調査基準:総務省miChecker2.0の基準で、JIS X 8341-3:2016の適合レベルA及びAAについて検証
- 調査内容:調査基準に基づき調査対象の全ページ(全HTMLファイル)を検証し、問題があるページ数及び箇所数をカウント
- 調査手法:総務省「公式ホームページのJIS 規格対応状況調査」と同一のシステムを用いてトップページからリンクを辿り、同一ドメイン内のリンクが有効な全ページを対象に、スマートフォンのブラウザ幅で表示された内容を検証
- 特記事項:JIS 規格に基づき人の判断を含めた確認を行った場合、本調査の結果以上に問題が確認される可能性が高い。また本調査で問題と判定された箇所には、ページの内容等を含めて人による確認を行った場合に問題がないと判断されるものが含まれている可能性がある。
調査結果
スマートフォンで表示された自治体の公式ホームページ全ページに対して、問題のあるページの割合を集計すると、平均して49.98%でした。
なお、自治体のパソコン表示の公式ホームページを対象とした2022年度の総務省「公式ホームページのJIS 規格対応状況調査」結果と比較すると、スマートフォン表示の公式ホームページは問題のあるページの割合が約20%多いことが分かりました。
本調査結果 (スマートフォン表示対象) |
(参考)総務省 2022年度「公式ホームページのJIS 規格対応状況調査」* |
|||
---|---|---|---|---|
団体数 | 公開されている全ページのうち、レベルA又はAAに問題のあるページの割合 | 団体数 | 公開されている全ページのうち、レベルA又はAAに問題のあるページの割合 | |
都道府県 | 39 | 56.03% | 45 | 28.49% |
指定都市 | 17 | 45.40% | 20 | 20.32% |
特別区 | 21 | 63.22% | 23 | 20.66% |
その他の市 | 762 | 48.53% | 765 | 32.55% |
全体 | 839 | 49.98% | 853 | 30.48% |
団体数 | 公開されている全ページのうち、レベルA又はAAに問題のあるページの割合 | |
---|---|---|
北海道・東北地方 | 116 | 58.50% |
関東地方 | 203 | 46.44% |
北陸・甲信越地方 | 88 | 51.09% |
東海地方 | 98 | 58.44% |
近畿地方 | 115 | 38.08% |
中国・四国地方 | 95 | 52.86% |
九州・沖縄地方 | 124 | 54.03% |
各団体の調査結果は、情報提供サイトA.A.O.『2023年Aion全ページJIS対応調査「自治体編」』にて公表しております。
まとめ
総務省「みんなの公共サイト運用ガイドライン(2024 年版)」では、各公共機関が提供しているホームページの現状や運用の事情を踏まえ改善計画を立案し実行することを求めています。また、スマートフォン向けの基準が追加された国際標準Web Content Accessibility Guidelines2.2への対応に着手することを求めています。
アライド・ブレインズでは、本調査により各公共機関公式ホームページで公開されている全ページのJIS対応状況を明らかにするとともに、結果の公表、解説セミナーの実施等を通じて、継続的に公共機関ホームページのウェブアクセシビリティ向上の支援をおこなっております。
【ウェブアクセシビリティとは】
高齢者や障害者を含めて、誰もがホームページ等で提供される情報や機能を支障なく利用できること。ウェブアクセシビリティ配慮の基準であるJIS X 8341-3:2016が2016年3月に改正公示された。特に、官公庁や自治体をはじめとする公的機関のホームページは、総務省が2024年5月に発表した「みんなの公共サイト運用ガイドライン(2024年版)」に基づき、日本産業規格JIS X 8341-3:2016及び国際標準Web Content Accessibility Guidelines2.2に対応することが求められている。
【JISの適合レベル・達成基準について】
- 適合レベル:JIS X 8341-3:2016に設けられた、ウェブアクセシビリティ対応の程度を示したもの。最低限の要求事項であるレベルA、その上位のレベルAA、レベルAAAの三段階が用意されている。
- 達成基準:ページの作成において対応すべき個別的な要件を規定したもの。61項目あり、各項目はレベルA、レベルAA、レベルAAAのいずれかに対応している。
【総務省「公式ホームページのJIS 規格対応状況調査」について】
総務省が平成29年度、30年度、令和2年度、3年度、4年度、5年度に、国、地方公共団体、独立行政法人地方独立行政法人の公式ホームページを対象に実施したJIS規格対応状況調査。調査結果は各団体宛に送付された。
本調査は、この総務省による調査と同一のシステムを用いて実施し、結果集計も総務省の上記調査と同基準で実施した。
【総務省「miChecker」について】
総務省が開発し広く一般に無償提供しているアクセシビリティチェックツール。ホームページ1ページずつ検証を行う。
【Aionについて】
公共機関のウェブアクセシビリティ検証のために総務省が開発し提供しているアクセシビリティチェックツール「miChecker(エムアイチェッカー)」のチェック項目と基準に準じて、ホームページの全ページを一括して検証するプログラム。総務省の公開するmiCheckerのソースコードを活用しアライド・ブレインズが開発。
【アライド・ブレインズ株式会社について】
調査・コンサルティングファーム。ウェブサイトの品質確保・向上に関し、総務省推進プロジェクト支援、官公庁・自治体・企業のコンサルティングなど多数の実績がある。ウェブアクセシビリティのJIS規格(JIS X 8341-3:2016)改正原案検討委員。「みんなの公共サイト運用ガイドライン(2024年版)」は、総務省からの請負により作成を担当した。
【A.A.O.について】
自社運営のウェブサイトを核にした、提供者と利用者のための公共機関ウェブサイト品質向上支援プロジェクト。サイト及びメールマガジン、セミナーを通じ、関連情報や支援ツール、改善支援サービスなどを提供している。
本プレスリリースに関するお問い合わせ
アライド・ブレインズ株式会社 担当:大谷、大久保
Tel:03-3261-7431 Fax:03-3261-7432 e-mail:office@aao.ne.jp
〒102-0073 東京都千代田区九段北1-10-9 九段VIGASビル 2階