公立図書館ウェブサイトの多くがアクセシビリティへの配慮不十分
- アライド・ブレインズ、図書館サイトの対応状況を調査 -

【プレスリリース】 報道関係者各位

2010年11月4日
アライド・ブレインズ株式会社

アライド・ブレインズ株式会社(東京都千代田区、代表取締役社長:内田 斉、以下アライド・ブレインズ)は、「A.A.O.ウェブサイトクオリティ実態調査 図書館編第1回」を実施し、この度調査結果を発表いたします。

独自ドメインを取得している公立図書館ウェブサイトを対象に実施した今回の調査では、各地域の自治体公式ウェブサイトよりも到達レベルの低い団体が多い結果となりました。

本年8月20日にウェブアクセシビリティ(高齢者や障害者を含めた誰もがウェブを利用できること)に関するJIS規格(JIS X 8341-3:2010、以下改正JIS)が改正公示され、ウェブアクセシビリティに関して自団体が目指す目標の設定と公表が求められるなど、特に自治体や中央省庁等の公共機関ウェブサイトにおいて、アクセシビリティの確保が急務となっています。

公立図書館には、高齢者や障害者を含めた全ての利用者に、情報や知識の習得機会を提供することが求められています。しかし、今回の調査結果では、図書館ウェブサイトの重要なサービスである蔵書検索や貸出予約等についてアクセシビリティ対応の不十分なウェブサイトが多く確認されました。見出しの画像に代替テキストが付与されていないといった例が散見されます。そのようなページは視覚障害者が音声読み上げソフトで閲覧する際、内容を適切に理解できない恐れがあります。

検索・予約システム等のウェブシステムも改正JISの対象範囲であり、公式ウェブサイト同様の対応が求められます。改正JISへの対応という意味でも、多くの公立図書館ウェブサイトが問題を有していると言えます。

本調査は、当社が独自に開発したウェブサイトの品質解析プログラム「CRONOS2(クロノス2)」の一部の解析項目を用いて対象サイトの“公開されている全ページ”を解析し、アクセシビリティ対応状況を評価するものです。

128の公立図書館について、調査結果をウェブアクセシビリティ総合サイトA.A.O.にて公表しております。
http://www.aao.ne.jp/research/cronos2/2010_library/index.html

到達レベル毎の団体数(基本レベル評価)
レベル 団体数 評価 次に求められる対応 画像代替 構造化
A 13 サイト全体で画像代替・構造化ともに十分対応している 配慮の適切さの確認
レベルの維持
90%以上 70%以上
B 10 サイト全体で画像代替・構造化ともに対応している 配慮の適切さの確認
構造化の徹底
80%以上 40%以上
C 15 画像代替・構造化ともに対応に着手している 画像代替の徹底
構造化の徹底
60%以上 10%以上
D 55 画像代替が不十分である/構造化の着手が遅れている 画像代替の徹底
構造化の着手
40%以上
E 35 画像代替が不十分なページが極めて多い 画像代替の見直し・着手 40%未満

自治体公式ウェブサイトとの比較
自治体サイトとの比較を表した図
※2010年7月〜8月実施の自治体編第5回調査結果より

  Aレベル Bレベル Cレベル Dレベル Eレベル
図書館サイト 10.2% 7.8% 11.7% 43.0% 27.3%
自治体サイト 21.4% 26.2% 29.4% 18.3% 4.8%

「A.A.O.ウェブサイトクオリティ実態調査」は2006年より実施しており、より多くの公共機関ウェブサイトが「誰にとっても使いやすい」ものとなるよう、自団体ウェブサイトの現状を認識し、改善の取り組みの指針としていただくことを目的とした調査です。アライド・ブレインズは今後も同調査を通じ、公共機関ウェブサイトの一層の品質改善と「すべてのサイト利用者」の利便性向上に貢献してまいります。

アライド・ブレインズ株式会社
調査・コンサルティングファーム。アクセシビリティを中心としたウェブサイトの品質確保・向上に関し、総務省推進プロジェクト支援、官公庁・自治体・企業のコンサルティングなど多数の実績がある。2004年7月に「WebアクセシビリティJIS規格完全ガイド」を日経BP社より刊行(2010年10月25日改訂)。ウェブアクセシビリティのJIS規格(JIS X 8341-3)検討委員、総務省「みんなの公共サイト運用モデル」検討支援を担当。

A.A.O.ウェブサイトクオリティ実態調査について
アライド・ブレインズが独自に開発したウェブサイトの品質解析プログラム「CRONOS2(クロノス2)」を用いて公共機関ウェブサイトの全ページファイル解析を行い、アクセシビリティの観点からウェブサイトの品質を評価する調査。評価した公共機関ウェブサイトの更なる品質向上のための指標として役立てていただく目的で、2006年より継続して実施中。ウェブサイトの一部のみを抜き出してチェックする調査とは異なり、公開されている全ページを解析し、下層ページを含めたウェブサイト全体の品質を明らかにする。

A.A.O.について
自社運営のウェブアクセシビリティ実用サイトを核にした、提供者と利用者のためのアクセシビリティ向上支援プロジェクト。ウェブサイト及びメールマガジン、セミナーを通じ、関連情報や支援ツール、また制作者・提供者と利用者の連携支援サービスなどを提供している。

CRONOS2について
ウェブサイトの全ファイル(同一ドメイン内)を解析し、ウェブアクセシビリティをはじめとするサイト全体の問題点をレポートする、アライド・ブレインズの独自開発プログラム。本調査の他、個別クライアントからの受託を通じ、約2600サイトの解析実績がある。「A.A.O.ウェブサイトクオリティ実態調査」において評価項目としている「画像に対する代替テキスト付与状況」「HTML記述の文書構造化状況」「サイト全体に共通するナビゲーションの付与状況」等のほか、HTML以外の全ファイルを対象にしたファイル構成や更新状況などの項目による解析が可能。

本プレスリリースに関するお問い合わせ

アライド・ブレインズ株式会社 担当:目次(めつぎ)・大久保・田崎
Tel:03-3261-7431  Fax:03-3261-7432 e-mail:office@aao.ne.jp
〒102-0073 東京都千代田区九段北1-10-9 九段VIGASビル 2階

→「A.A.O.ウェブサイトクオリティ実態調査 図書館編第1回」の概要