遠隔画像診断の動向と事業機会

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3. 遠隔画像診断の実施例
女川テレメディシン研究会における実施状況

女川テレメディシン研究会とは

東北大学病院と女川町立病院の間を光ファイバーネットワークで接続し、技術・運用の両面から各種遠隔医療の有効性を検証するための研究会。

女川テレメディシン研究会の活動内容

放射線科、脳外科、病理部および皮膚科の4診療科で共通の画像伝送インフラを用いて遠隔医療を実現。

診療科ごとの遠隔医療
病理部 ・術中迅速病理診断の実現
放射線科 ・遠隔画像診断システムによるテレカンファレンスの実施
・日常的な遠隔画像診断の実施(読影依頼と読影レポート送付)
脳外科 ・遠隔画像診断システムによる緊急脳外科診断、運用体制の構築
皮膚科 ・皮膚科遠隔画像診断システムの構築とデジタル画像の活用

女川遠隔医療システム (システムイメージ)

女川テレメディシン研究会の特徴

病理における実施内容

放射線科における実施内容

  1. 女川町立病院で診断の難しい症例を全て大学病院に伝送
  2. 大学病院側では自由な時間に画像を参照し、診断レポートを作成
  3. 定期的にテレカンファレンスを実施し、町立病院側の診断技術向上を図る

脳外科における実施内容

緊急脳外科診断運用体制を構築。運用体制は以下の通り。

  1. 女川町立病院で緊急患者の到着とCT用語集へ/MRI用語集へ撮影
  2. 緊急患者CT/MRI画像が自動的に東北大学病院に転送
  3. 東北大学病院で高精細画像を元に患者診断と緊急送付の必要性/送付先病院の判断
  4. 東北大学業印から女川町立病院へ、診断結果の通知と患者移送指示
  5. 女川町立病院より指定の病院への患者の緊急送付
  6. 石巻日赤病院または仙石病院では、東北大学病院より電話による患者の容態説明を受けると共に、女川町立病院からのWWW参照画像による者受け入れ準備

皮膚科における実績

35mmフィルムのデジタル化による遠隔画像診断時の画質評価を実施。

遠隔画像診断の実施による効果

システムとその効果
術中迅速病理診断システム ・これまで標本採取→本手術と二度の手術を必要としていた腹部の手術患者が、一度の開腹手術で済むようになった
放射線画像診断システム ・難しい症例に対する診断品質の向上が得られた
・女川の医師、技師のレベルが向上した
脳外科緊急患者搬送システム ・緊急患者が実際に治療を受けられるまでの時間が、本システムがない場合と比較して30分〜1時間半短縮できる
皮膚科画像診断システム ・週一度の皮膚外来のみでなく、常時大学の専門医による診断やフォローアップが実現

効果の具体例

病理
手術中に摘出範囲の決定がおこなえるため、手術回数、入院期間の短縮など大きなメリットが得られる。
脳外科緊急
専門医による正確な判断が得られるとともに、手術開始までの時間を大幅に短縮できるため、患者のリスクを大幅に低減することができる。

医師による有効性の評価

調査実施 H11.3.10〜23

効果まとめ

研究会による提言

早期の保険診療化
遠隔医療の導入による費用対効果を明らかにし、厚生省や関係機関への保険診療化の働きかけをおこなう
遠隔医療用機器、ソフトウエアに関する規格制定の推進
国や業界団体などに働きかけ、遠隔医療に関わるハードおよびソフトウエアの規格制定を速やかに進める (DICOMの普及促進を含む)
医療情報のセキュリティルールの確立
病院間で患者情報のやりとりをおこなう際の情報保護ルール、技術的方法論を取りまとめ、医療現場におけるコンセンサスを作り上げる
医療従事者のコンセンサス形成促進
各地で別個におこなわれている遠隔医療の成果を集約し、共通のガイドラインを作成するなどの取り組みをおこなう
国民へのテレメディシンの周知
遠隔医療がもたらすメリット、実現コスト等に関する情報を広く収集・公開し、国民に対する啓蒙活動をおこなう