遠隔画像診断の動向と事業機会
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4. 遠隔画像診断のビジネス機会
遠隔画像診断の普及状況
- 実験から実用段階に移行する例が現れてきた
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- 隔画像診断受託サービス事業者の出現
- 遠隔画像診断をターゲットとした製品の登場
- ただし普及の足取りは重い
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- 技術的な課題の存在
- 経済的な課題が大きく立ちふさがっている
- 用面においても障害
→ 遠隔医療への関心の中心が、「遠隔画像診断」から「在宅医療」に移りつつある。
遠隔画像診断の事業構造
- 遠隔画像診断受託サービス
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- 医療機関
- 新規参入事業者
- 遠隔画像診断インフラ構築
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- 画像診断機器メーカー
- システムインテグレータ
- 通信事業者
遠隔画像診断受託サービス
- 現在の市場規模は約500件(1施設1件とカウント)
- 3社がしのぎを削っている。
Hospi-net(ホスピネット) | ・セコムの提供する遠隔画像診断サービス ・市場の6割を押さえるトップ企業 ・常勤医4人、非常勤医21人 ・ビデオキャプチャーによる診断 |
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ネットホスピタル | ・ビデオキャプチャーによる診断 |
ドクタ―ネット | ・8人の放射線科医を抱える ・DICOM規格を採用 |
画像診断機器メーカー
主要なメーカ(例)
- 東芝メディカル
- GE横河メディカルシステム
- シーメンス旭メディテック
- 日立メディコ
- 島津製作所
システムインテグレータ
- 病院内のネットワークシステム構築が市場の主体となっており、遠隔医療システムはその一部。
- 富士通、日本電気(NEC)および横河電機の3社が病院内ネットワークシステムで強い。
- いくつかの事業者が遠隔画像診断をターゲットとしたシステム構築に参入。
- 九電工
- グローバルソフトウエア
- 島津製作所
通信事業者
- インターネットの普及に伴う高速回線の低価格化が進行。
- ただし遠隔画像診断の求めるセキュリティ実現には課題が残る。
NTT-MEの例
- 2000年9月に医療機関向けのネット事業を開始
- 遠隔医療が本格化する時代に備え、医療機関をつなぐネットワーク網を構築する狙い
- 中小規模の中心に顧客開拓を目指し、今後3年間で40億円の売り上げを目標
事業参入の考え方
- すでに医用画像事業に関連する事業者は、遠隔画像診断またはインフラ構築事業
- 現在医用画像事業に関連しない事業者は、遠隔画像診断または受託サービス事業
普及に向けた課題 全体像
- 技術的課題
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- 画像表示能力
- 相互接続性
- セキュリティ
- 経済的課題
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- 通信コスト
- 診療報酬
- 運用面での課題
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- 診療責任
普及に向けた課題 診療報酬
- 遠隔医療を医療機関の収入に結びつけるための保険医療制度の整備が遅れている。
- 現在の診療報酬の枠組みでは、通信コストをまかなうことが難しい。
診療報酬改定の動き(H12)
- 病理組織迅速顕微鏡検査
- 遠隔診断での保険算定の追加
- 画像診断(CT、MRI)の新たな評価
- 「高額画像診断機器の共同利用に対する評価」の導入
普及に向けた課題 通信コスト
- 通信回線の利用コストについては低下が見込まれる。
- ただし病院内のネットワークを他の医療機関と接続するためのインフラ投資も負担となる。
厚労省による通信インフラ整備の予算化
- 医療機関同士を結ぶ回線を光ファイバに更新する場合に交換機の整備にかかる費用の半額を国が補助(予算額12億円)
- 地域医師会や地域医療支援病院、周辺の診療所などが情報連絡のためパソコンを導入する費用の半額補助