ネットオークションの利用に関するアンケート調査結果概要

1 はじめに

インターネットを通じて競り売り形式で売買が行われるネットオークションは、近年日本においても急速に普及してきている。特に人気が集中しているのが売り手・買い手共に個人であるフリーマーケット型のネットオークションであり、利用者・取引高ともに急激に拡大しつつある。

一方で、取引に適さない商品の売買や、代金未払いや商品引渡しの遅延といった問題も多く発生しており、何らかの対策が必要だとの指摘がなされているのも事実である。

当社ではこうした背景から、ネットオークションの利用実態やトラブルの現状を把握し、ネットオークションの健全な発展に必要な要素とは何かを検討するための調査を実施した。初回は2000年5月、マルチメディア振興センターからの委託調査として個人利用者・オークションサイト運営者それぞれに対して調査を実施し、個人間取引をサポートするサービス・制度の拡充と、利用者自身への啓発が必要との分析結果を得た。その後1年余りが経過し、更なる利用者増やオークションサイト側の対応の変化といった状況変化が見られることを受けて、2001年9月に追跡調査(自主調査)として個人利用者を対象としたオンラインアンケートを実施した。以下にその調査結果の概要を前回調査との比較という視点から紹介する。

2 調査概要

1)調査対象

  ネットオークションの個人利用者

2)調査手法

  オンラインアンケート

3)調査期間

  2001年9月26日〜10月14日

4)有効回答数

  1078件

3 調査結果の概要

1)回答者の属性

2000年5月の調査(以下前回調査とする)では回答者の7割が男性であったが、今回調査では男女比がほぼ半々になり、女性の割合がかなり増加した。また年齢層でみても、20代・30代が全体の8割を占めた前回調査に比べて40代の割合が増しており、ネットオークション利用者層の裾野が広がりつつあることが伺える。

また、通常のオンラインショッピング利用経験者の割合が前回調査に比べて増加しており、「(過去に)利用したことがある」との回答も含めると8割以上に達した。「インターネット上で商品やサービスを購入する」ことに対する抵抗が薄れてきていると言える。

グラフ1 性別 グラフ2 オンラインショッピングの利用

2)よく利用するオークションサイト

前回調査と同様、Yahooオークションと楽天オークションが双璧であり、回答者の7割がYahooオークションを利用している。そのサイトを選ぶ理由としては、品揃えの豊富さを挙げる人が最も多い。利用頻度別に見ると、利用頻度の低いグループは知名度を重視している点が目立つ。

グラフ3 よく利用するオークションサイト グラフ4 そのサイトを選ぶ理由

3)オークションサイトの利用状況

オークションサイトにアクセスし「実際に入札する頻度」を尋ねたところ、月数回もしくはそれ以下という回答が多かったが、「ほぼ毎日」「週に数回」との回答も2割を超えており、かなり頻繁に利用しているユーザーも少なくない。

入札・購入した商品については性別による違いが大きく、男性の上位品目はパソコン関連品、CD/ゲーム類、家電製品等 であるのに対し、女性の場合は衣料品、生活雑貨、パソコン関係品の順である。

グラフ5 ネットオークションの利用頻度 グラフ6 入札・購入したことのある商品

4)オークションサイトの評価

ネットオークションの魅力は「安く買えること」という回答が最も多く、回答者の約7割が選択している。他には、通常では入手困難なものが見つかる点、駆け引きの楽しさ等を魅力と感じる人も多く、"ネットオークションを利用し始めたきっかけ"に対する回答とほぼ対応した分布である。

グラフ7 ネットオークションを始めたきっかけ グラフ8 ネットオークションの魅力

回答者の7割が「トラブルがあっても自己責任で解決するしかない」ことをネットオークション利用時の不安点として挙げている。また、本当に商品が届くかどうかや落札品の質、相手の顔が見えない等、「事前に自分の目で確かめられない」というオンラインであるが故の不安を挙げる人も多い。

グラフ9 ネットオークションの不安点

ネットオークションの短所としては、「店頭価格より高くついてしまうこともある」という回答が最も多く、送料や振込み手数料は大抵落札者負担のため、安い価格で落札できても結局は高くついてしまう場合が少なくないと感じていることがわかる。前回調査と比べると、回線の混雑やシステムの不安定さといったシステム面への不満が、割合にして半分程度に減ってきている。

グラフ10 ネットオークションの短所

5)ネットオークションをめぐるトラブル

ネットオークションの利用に関する何らかのトラブルを経験したことがある人は回答者の約1割で、前回調査とほぼ同じ結果となった。当然ともいえるが、利用頻度別に見ると利用頻度の高いグループほどトラブル経験者の割合も高くなっている。

グラフ11 ネットオークションでのトラブル経験

6)エスクローサービスの利用

エスクローサービスを利用したことがある人は回答者の4%足らずに留まった。エスクローサービスを利用したことがない理由として「エスクローサービスの存在を知らなかった」という回答者が3割近くおり、エスクローの認知度自体がまださほど高くないことが伺える。また、特に個人による出品の場合には、エスクローが利用できるケースが少ないことも利用経験者がまだ少ない の一因であると思われる。

利用頻度別にみると、利用頻度の低いグループでは「知らなかった」「使う機会がなかった」という回答が多いが、利用頻度の高いグループでは「仕組がわかりづらい」「手数料がかかる」といった理由をあげる人が多く、エスクローの存在や内容は知っているけれども使っていないというユーザーが多いようである。

グラフ12 エスクローサービスの利用経験 グラフ13 エスクローサービスを使わない理由